Pot-pourri / Classic (CD)

オススメ!!!HEADZが送り出す新人バンド、Pot-pourri (ポプリ) のファーストアルバム。

自らをアブストラクト・ポストパンクと評し、メロディアスながらもカッティングエッジなオリジナルサウンドを追求する若手バンド、Pot-pourriの初となるフルアルバム。 P-MODEL(ポプリは彼らのアルバムタイトルですね)や割礼、CURE、DURUTTI COLUMNといった80sニューウェイヴ〜ポストパンク、ROBERT WYATT、PORTISHEAD、GROUPER、更にはスピッツ、LUNA SEA、NOVEMBERS、空間現代等の日本のバンドからの影響を高次元にミックス。楽曲ごとに様々な音楽要素が詰め込みつつも不思議と統一感のある、強烈な個性を発揮した素晴らしいアルバムとなっています。

Track List:
1. Cerulean
2. Kankitsu
3. Lempicka
4. Revolver
5. Berceuse
6. Absinthe
7. Nocturne
8. Silkworm







Pot-pourri『Classic』ライナーノーツ
なぜ、アコースティックギターだったのか?
Pot-pourriの音楽を聴いていると、背後にある様々な音楽が聞こえてくる。バンド名の由来となったP-MODELを含む、ヤプーズやYBO2やPANICSMILEなどの日本のアンダーグラウンド、FeltやThe Cureのような英国のニューウェイヴ(とその子息としてのスピッツ、LUNA SEA、Plastic Tree)、あるいはGenesisやGongなどのプログレ。「Kankitsu」の上ずったボーカルと陽性のコードプログレッション、複雑なリズム構成の組み合わせはDirty Projectorsの諸作を思わせるし、「Absinthe」の直進で突き進むリズムはGASTUNK「ジェロニモ」を想起させる。ありとあらゆる時代と場所の音楽がこの『Classic』というアルバムに注ぎ込まれているのだが、今名を挙げたミュージシャン、バンドのメインとなる楽器はエレクトリックギターだ。時にアコースティックを用いることはあっても、弦を弾く音がはっきりと鳴らされるその響きを中心に据えた音楽ではない。フォークやカントリー、ブルースなどととしばし括りこまれる音楽においてはアコースティックギターの音がほぼ不可欠になってくるが、そのあたりの音楽からの影響はPot-pourriには薄い。にも関わらず、『Classic』では全曲を通してアコースティックギターの音が聞こえてくる。これはどういうことなのだろう。 上に挙げたバンドは、どれも自分が生きる世界に対する違和感を表明してきた存在だろう。その違和感を、言葉と同時に、音の連なりと重なりを通して表現してきたバンドだ。曲調のめまぐるしい変化、あるいは逆に盛り上がりを欠いた平坦さ。もしくはバランスを崩した音の構成。あらゆる手段で社会の片隅に打ち捨てられた存在を拾い上げようとする。Pot-pourriはそうした音楽家の系譜に位置するバンドであり、だからこそエレクトリックが似合う局面にあえてアコースティックギターを拵えるのだ。リヴァーブの効いた鋭利なギターが入り込むべきニューウェイヴ調の曲に広がりの貧しいアコースティックをぶつけてくる。同時にそのギターをエレクトロニクスで加工させ、違和を強調する。フォーク調の牧歌的な歌に、ダブ処理を施した音像の深いベースとドラムが絡み合う。Pot-pourriは、自らの持つ違和感に対して途方もない誠実さで対峙している。変調を表現することが、自らに誠実であり続けるための彼らの戦略なのだ。
「今日はピーカンだから、黒い服で外に出て影だけの人になる」。この1行に彼らの姿勢が凝縮されている。光に塗れ切った空の下で、影だけになること。存在のない存在になること。人々の行き交う街並みで、糸屑だらけのゴーストタウンを幻視する我々だけの祝音。(伏見 瞬)
型番 UNKNOWNMIX / HEADZ (JPN)
販売価格
2,000円(税込2,200円)
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